大変に大好きなJamiroquaiのVirtual Insanity。
何年か前に既に「日本語に訳して歌ってみた」をさせて頂いたのですが、今回改めて歌うにあたり原曲の歌詞を紐解いてみたところ、新しい解釈の視点が出てきましたので、和訳の解説をば。
素敵な楽曲を楽しむ一つの観点になりましたら本望ですっ!!
▼色んな和訳の世界観を踏まえて英語で歌うと、こんな感じです(from kattin channel)。
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Virtual Insanityの歌詞の解釈のポイント
「Virtual」の意味は「名目上はそうではないけれど、実質上の,事実上の,実際上の」、という形容詞。
そして「insanity」は「狂気」や「精神錯乱」「精神病」の意で、法律用語として「精神異常」を表す名詞(かなり強い言葉ですね…)。
2番の歌詞中でも「Whoa, it’s so insane (なんて狂ってるんだ!正気じゃないよ!)」と歌われています。
なので、「Virtual Insanity」は「実在はしていないけれど、事実上存在している狂気」と解釈することができます。もう、タイトルだけで本当に恐ろしいです…。
そして歌詞全体を通じて「Insanity」な感情がブワーーーーっと表現されていて。タイトルに回帰する感じ、ゾクゾクたまらんです(*′ω`)
Virtual Insanityの和訳:イントロ〜Aメロ
[Intro]
Oh yeah
What we’re living in
Let me tell ya[Verse 1]
And it’s a wonder man can eat at all
When things are big that should be small
Who can tell what magic spells we’ll be doing for usAnd I’m giving all my love to this world
Only to be told
I can’t see
I can’t breathe
No more will we be
和訳:Oh yeah. what we’re living in~
僕に伝えさせて
どうして何でも鵜呑みにしてしまうのか
不思議でしょうがない
色んな物事が誇張されすぎてる
本来はちっぽけなことなのに
誰が呪文を唱えたのさ
僕らが僕ら自身を呪うようなこんな呪文を
僕はこの世界に愛を与え続けているんだ
でも、(何もできないって) 思い知らされただけだった
何も見えない
息ができない
これ以上僕らは何もできないよ
eatが食べるのは食べ物だけじゃない!
eatは普段”~を食べる”って意味で使うことが多いのですが、・”物事”も食べられるんですね!
「これでも喰らえ!」って言いたい時に“eat this!”なんて言ったりしますが、日本語も英語も「食べる」って使い方のニュアンスが似ているんだなぁ…と冒頭から大変勉強になりましたw
・No more will we beって?
元々の文はWe wll be no more
直訳すると「僕たちはno moreになります」ですw
moreは「現状以上の好ましい状態」を意味しているニュアンスがある(個人的に)ので、それが”no”と否定されているので、
現状以上になれない=これ以上どうすることもできないと訳してみました。
主語は”We”なので♪
Only to be toldの解釈
直前の歌詞「僕はこの世界に愛を与え続けているんだ」にかかる部分ですが、直訳すると「言われるだけ」。
「誰かに言われる場合にのみ、僕は愛を捧げた」とも、「僕は愛を捧げたのに、言われる(=思い知らされる)だけ」とも解釈できます。いずれの場合も、受動的な表現で自分の意思とは関係なく「言われるだけ」です。
今回は、その直後の「I can’t see. I can’t breathe」の文脈と合わせて「僕は愛を捧げたのに、思い知らされただけだったよ」と解釈して訳してみました。
Virtual Insanityの和訳:Bメロ
[Pre Hook 1]
And nothing’s going to change the way we live
‘Cause we can always take but never give
And now that things are changing for the worse
See, Wow it’s a crazy world we’re living in
And I just can’t see that half of us immersed in sin
Is all we have to give these –
And nothing’s going to change the way we live~の和訳
だって僕らはいつも奪って
与えるなんてことは絶対にしないから
だからほら、物事が悪い方に変わっていってるでしょ
あぁ、狂った世界なんだよ
僕らが今生きてるこの世界は
あと、全く分からないのが
僕らの半分は罪に浸ってしまっているということ
僕らは与えさえすれば良いのですか?
これらの…を
多分キリスト教のことを歌っている説
「immerse」は「(液体に)浸る」という意味の言葉ですが、キリスト教の洗礼の方法のひとつの「浸礼する(水に浸る洗礼方法らしい)」という意味があるそう。
歌詞中で何に浸っているかと言うと「sin(=罪)」なので、「half of us immersed in sin」は「僕らの半分は罪に浸ってるんだ」になります。
あまり詳しくはないのですが、キリスト教には「原罪(人間は産まれながらにして罪を負っている。※アダムとイブが神様の命令に背いて禁断の果実を食べちゃったから)」という考え方があります。
そして、その原罪から解放されるためには、祈ることとされています(細かくは色んな派によって異なりますが。私は専門家でも何でもないのでザックリとです)。
※個人的に、2番のBメロの「Nothing left to do but pray(=祈ることしかできない)」ととてもリンクする部分です。
・Is all we have to give theseの訳が難しい…
疑問詞で始まっているので「~が全てですか?(~さえすれば良いですか?)」
歌詞は「Is all we have to give these…」
なので、「私たちはこれらの…を与えさえすれば良いのですか?」となるの思うのですが
「…」が分からない・・・
このハッキリしない感じもまた堪りません!癖に刺さりまくりです!!!!
Virtual Insanity;サビの和訳
[Hook]
Future’s made of virtual insanity
Now always seem to, be governed by this love we have
For useless, twisting, of our new technology
Oh, now there is no sound
For we all live underground
Future’s made of virtual insanity〜の和訳
実在はしていないのに
事実上、実在してしまっている狂気によって
そしてその世界はいつだって
僕らの持つこの愛によって統治されているように見えるんだ
役に立たない、ねじれて歪んだ僕らの新しいテクノロジーがため
音なんて聞こえないよ
だって僕らみんなが生きてるのは、地上じゃなくて地下の世界なんだから
Virtual Insanity;2A&2Bの和訳
繋げた方が歌詞の流れが分かりやすいので、繋げて和訳をご紹介します!
[Verse 2]
And I’m thinking what a mess we’re in
Hard to know where to begin
If I could slip the sickly ties that earthly man has madeAnd now every mother, can choose the colour
Of her child
That’s not nature’s way
And I’m thinking what a mess we’re in~の和訳
何から始めれば良いかも分らない
あぁ…俗世の人間が作ってきた、この吐き気を催すようなしがらみや束縛から逃れられたらいいのに…
今日では、母親はそれぞれ自分の子供の肌の色を選べちゃうんだよ
自然じゃないよね
[Pre Hook 2]
Well that’s what they said yesterday
There’s nothing left to do but pray
I think it’s time I found a new religionWhoa, it’s so insane to synthesize another strain
There’s something in these futures that we have to be told
Well that’s what they said yesterday~の和訳
祈ることしか残されてないよ
思うんだ、そろそろ新しい宗教を見つけなきゃって
あぁ、正気の沙汰じゃないよ。他の血統を合わせるなんて!
こんな未来にも、僕らが教わるべき何か良いことがきっとあるんだよね
2番の歌詞に込められた感情がもう…ものすごい
もはや怒濤すぎて言語化するのがとても難しいのですが、可能な限り2番のAメロとBメロを訳すと(1番からの流れも汲んで)、下記な感じになると思います。
でもそれじゃ何も変わらないよ、新しい宗教(人が作ったもの)を作らないと。でも色んなもの(※後述)を合わせるなんて無理!歪むでしょ、ああああああああああああっ!!!
Insanityなニュアンスが伝わりましたらこれ本望。
まさに、タイトルが落とし込まれている感じです。もう素晴らしいとしか言えん。。。(*′ω`)
it’s so insane to synthesize another strainの表現が絶妙
it’s so insane to synthesize another strainは、直訳すると「正気の沙汰じゃないよ。他の血統を総合するなんて」です。
Strainは、人や動植物の血統や家系・種族、もしくは家系に伝わる素質や気質、傾向・特徴などを表す名詞です(ちなみに、曲、歌という意味もあります)。
「人為的に血統をあわせて、子供の色が選べるようにするなんて、正気の沙汰じゃない」とも解釈できますし、「もう祈るしか残されていないこの世界に、新しい救いを求めるには、新しい宗教を作るべきなんだ。でも今ある宗教に別の価値観を合わせるなんて、正気の沙汰じゃない!」とも解釈できます。
ものっすごいパワーと諦めと悲しみと無力感と言葉にできない感情がこの一文に込められているです(※あくまで個人の意見です)。
Virtuak Insanity日本語で歌ってみたはこちらにて
Virtual Insanityの歌詞を和訳して日本語で歌ってみたら、意味がめっちゃ深かった
最後までお読みいただきありがとうございました!
色んな解釈ができる本当に深〜い曲だと思うので、解釈の一助になりましたらこれ幸い(*′ω`)♪